2018/3/15から住宅宿泊事業法(民泊新法)の申請が開始になった。法律が施行されるのは同年6/15から。
そこで、茨城県内で個人で民泊を届け出る手順を、家主居住型の場合を例に書く。なお、民泊新法は新しい法律で、各自治体もまだ条例を新しくつくったりしている段階なので、最新情報は各サイトを参照してください。責任は負いません。あくまで個人的な覚え書きとして。
ちなみに、東京23区内は独自の条例があったりして、個人で民泊を届け出るには現状かなり厳しいようだ。例えば、平日民泊禁止としている区がいくつもあって、そうした場合は金土日で宿泊が不可能になってしまう。年間180日しか宿泊を認めないという大きなルールがある中、週末だけの営業で採算が取れるのかと、頭を抱えるホストの方が多くいる。なので、茨城県の現状「独自の条例なし」というのは、だいぶ気がラクではある。
届出はなかなか大変なので、行政書士による民泊申請代行サービスも始まっている。1件につき30万円のところもあれば、10万円のところもある。自分では届出できそうにない場合は、こうした申請代行という方法もある。
民泊のために必ず読むべきサイト
まずは、民泊制度ポータルサイト内「民泊制度運営システム」の利用者登録をしておく。ログイン後、必要事項を入力していくことで、届出に必要な書類がページ内にリスト化される。
また、民泊新法施行後は、2ヶ月に1回「電子宿泊者名簿・定期報告」の義務が生じる。これもこの民泊制度ポータルサイト内で行う。現状、名簿のフォーマットなどはまだ準備中とのこ。(2018/3/29現在)個人的には、MacOSに対応してもらいたい。
Airbnbは、言わずもがな世界最大の民泊サイトだ。このサイトの流行と共に日本にも民泊新法という法律ができたと言って過言ではない。2017年5月時点の日本におけるリスティング件数は48,000件で、全国のホストが工夫を凝らしたリスティングを掲載している。個人的には、民泊を届け出る方はAirbnbの登録は避けられないというか必須だと思う。
その他、民泊大学などの情報サイトは、民泊に関する最新情報はもちろん、民泊関連サービスについても知ることができる。民泊を届け出るにあたって必読の民泊新法についても、ポイントを抑えて紹介している。
民泊に関する3つの事業
- 住宅宿泊事業者
民泊ホストはこれ。無料で届出が可能。 - 住宅宿泊管理業者
家主の依頼を受けて届出住宅の維持管理を行う。国土交通省の登録が必要、登録免許税9万円。登録には諸条件を満たす必要がある。例:不動産屋さんなど。届け出る建物に家主が不在の場合は、必ずこの管理業者に委託する義務がある。 - 住宅宿泊仲介業者
泊まりたい人と民泊ホストをつなぐ仲介業者。観光庁の登録が必要、登録免許税9万円。例:Airbnbなど。
個人が住宅宿泊事業者の登録をする場合の必要書類
茨城県のサイトと民泊ポータルに様式がある。まずは、茨城県のサイトで必要な書類をダウンロードし、ないものは民泊ポータルを参照する。
(1)茨城県>生活衛生>住宅宿泊事業(民泊)>様式ダウンロード
(2)観光庁>民泊ポータル>住宅宿泊事業法(関連法令・様式集)
- 住宅宿泊事業届出書(第1号様式)
- 消防法令適合通知書
- 後見等登記事項証明書(登記されていないことの証明書)
成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の証明
—> 東京法務局の窓口か郵送で - 市町村の長の証明書(身分証明書)
成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の証明
—> 本籍地の市町村役場に申請する - 住宅の登記事項証明書(不動産)
—> 法務局で取る - 住宅の図面
- 住宅宿泊事業法の安全措置に関するチェックリスト
- 欠格事由に該当しないこと等を誓約する書面(様式2:個人)
- 随時居住の用に供されていることの証明書類
1. 住宅宿泊事業届出書(第1号様式)
自治体ごとに様式が異なる場合がある。茨城県の場合は、茨城県のサイトでダウンロードする。書き方の注意事項もよく読むこと。
2. 消防法令適合通知書
- 市町村の消防署に電話をして、民泊の届出の件を伝える。
- 申請書、通知書に記入して持参する。自治体によっては、申請書に記入、捺印して持参しても、消防署が用意した書式に書き直しさせられることがあるので、印鑑も持参するとよい。「4 申請理由」は、新規届出の場合、第3条第1項の規定による届出の方にチェックを入れる。(第3条第4項はチェックを入れない)
- 必要に応じて、住宅の案内図、建物の図面を添付する。宿泊室を色分けするように言われたり、火災報知器の位置を明記するなど、消防署の方と相談しながら添付書類を準備する。
- 立会の日程を決定する。
- 立会後、通知書をもらう。
2018年3月現在、消防署に民泊の相談はあっても、申請書を持参した人は初めてということで、署内がざわついてしまった。今年に入ってから民泊に関する分厚いドキュメントを渡されたというだけあって、署員の方も法律について理解していない様子だった。
建物の図面については申請時に添付するもので、消防署がチェックすることではないと思うが、わかってもらえないので従う以外にない。
3. 後見等登記事項証明書(登記されていないことの証明申請)
東京法務局の窓口か郵送で送ってもらう。九段下まで行くのが困難な場合は、郵送が便利。送ってもらうための必要書類は以下の通り。申請書に書いた自筆がそのまま証明書になって戻ってくる。
- 信用封筒(自分宛の住所氏名を明記の上,返信用切手を貼付した長3サイズのもの)
- 申請書
郵便局などで300円の収入印紙を買って貼る。 - 本人確認書類(運転免許証,健康保険証,パスポート等)のコピー
【参考】法務局|登記されていないことの証明申請(後見登記等ファイル用)
4. 市町村の長の証明書(身分証明書)
住んでいる市町村ではなく、本籍地の市町村役場から発行してもらう。郵送してもらう場合の必要書類は、住民課に問い合わせて確認する。以下は参考までに。
- 信用封筒(自分宛の住所氏名を明記の上,返信用切手を貼付した長3サイズのもの)
- 申請書(ウェブサイトからプリント)
- 本人確認書類(運転免許証,健康保険証,パスポート等)のコピー
- 手数料分の定額小為替(市町村に確認、200円くらい)
身分証明書には、本籍、筆頭者、本人氏名、生年月日の他に、以下が明記されている。
- 禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受け付けていない。
- 後見の登記の通知を受けていない。
- 破産の通知を受けていない。
5. 住宅の登記事項証明書(不動産)
届出する建物の登記事項証明書は法務局で取る。「登記ねっと」の登録をしている場合は、手数料500円で送付してもらえる。法務局に行くよりも手数料は安い。最短、翌日には届く。
6. 住宅の図面
建築家、不動産屋から入手して、以下の事項を手書きでいいので明記する。
- 台所,浴室,便所及び洗面設備の位置
- 住宅の間取り及び出入口
- 各階の別
- 居室,宿泊室及び宿泊者の使用に供する部分のそれぞれの床面積(m2)
- 非常用照明器具の位置、その他安全のための措置の内容等
7. 住宅宿泊事業法の安全措置に関するチェックリスト
茨城県のサイトからダウンロードしてチェックする。
8. 欠格事由に該当しないこと等を誓約する書面(様式2:個人)
茨城県のサイトからダウンロードしてチェックする。これは、暴力団に入ってませんよとか、刑務所入ってませんよとか、破産宣告受けてませんよとか、そういった誓約書。
9. 随時居住の様に供されていることの証明書類
「届出する家にちゃんと家主が住んでいますよー」という証明書類。近所のコンビニやスーパーなどで買い物したときのレシートをコピーして証明書類とする。
書類一式が揃ったら、必ず自分用の控えとしてコピーを取っておく。その上で、茨城県の場合は水戸の県庁窓口へ届出に行く。マイナンバーカードとICカードリーダーを持っている場合はオンライン申請も可能。
総合的に言えることは、インターネットが使えないと民泊の届出も運営も厳しいということ。さらに、届出は無料と言いながら、諸条件をクリアするためには設備投資などの費用もかかる。年配の方が、所有している空き家を民泊活用しようとしても、一般的にはかなり厳しい印象を受けた。
また、逆に言えばこれだけ厳しい条件をクリアしたリスティングはお客さまにとって安心して利用していただけると思う。
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