昔のデザインを現代に蘇らせる -1(スタンプ編)

鹿嶋市のとなり、潮来(いたこ)に1804年創業の老舗酒蔵、愛友酒造さんがある。216年も日本酒を造り続けてきた酒蔵なので、いつ、誰が、なんのために作ったのかわからないものが、社内にたくさん眠っている。

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古い風呂敷、発見!

2020年6月、八代目当主で社長の兼平さんが「こんなものを見つけた」と見せてくれたのが、一枚の風呂敷だった。唯一残っているその風呂敷には、酒樽の図柄が描かれている。恐らく、お酒の品評会で優等賞をいただいたときに、記念に作った風呂敷らしいのだが、50年前のものなのか、それとも100年前のものなのかもわからない。当然、その頃にはコンピューターもなかったので、誰かが手書きで描いたものだ。

この手書きの酒樽の図柄がとてもかわいらしく、格好いい。風呂敷がなくなってしまったら、この図柄ももう二度と見ることができなくなってしまう。今のうちにデジタル化して、活かさなくてはと思い、兼平社長にその貴重な風呂敷をお借りすることにした。

風呂敷の酒樽イラストをデジタル化する

風呂敷はあちこち虫食いの穴があいている。それでもうまく取り込んでデータ化できるのではないか。自宅に持ち帰って、霧吹きしたあと、当て布をしてアイロンを当てていく。シワのなくなってきれいになった風呂敷をスキャナーで取り込む。ただ、図柄が大きいので、3回に分けて取り込み、複数の画像を1枚に合成していく。

繋ぎ目がわからないように、1つの画像に合成する。

風呂敷の図柄は、同じ酒樽が3つ組み合わされている。そのうちの1つを取り出して、社名入りのスタンプをご提案させていただいた。

あらゆるシーンで使えるスタンプをつくる

愛友酒造さんの住所と社名入りのスタンプは見せていただいたことがあったが、文字だけのシンプルなものだった。この酒樽デザインのスタンプは、納品書や封筒、ダンボール、あらゆるものに愛着を持って使っていただけると思った。なにより、一目で酒蔵だとわかる。

社名入りの角形印。作業効率化を図るため、スタンプ台不要の浸透印に。
モノクロ印刷の書類などが引き立つように、青インクにした。

昔々、誰かが描いた酒樽のイラストが、現代に蘇った。「商標登録」「四海皆兄弟」といった小さな手書き文字も、きれいに再現できた。

この酒樽のイラストは、創業1804年の愛友酒造さんらしい大事な宝物だ。後世に残していきたい。

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