毎年、国内外で賞を受賞していている愛友酒造さんの日本酒。その中でも「愛友大吟醸」と「愛友 純米大吟醸」は、国内だけでなく海外からも高く評価されているお酒だ。この酒造りの過程で、もろみを酒袋に入れて吊す工程がある。すべてが手作業なので、とても手間の掛かる作業だ。
酒蔵によっては、この酒袋を毎年洗って使い回すこともあるようだが、愛友酒造さんでは毎年使い切り。その酒袋作りをお手伝いすることになった。ウェブ制作でもなく、グッズデザインというわけでもない、番外編だ。
制作時期 | 2021年2月 |
縫製料 | 非公開×84枚(ミシン糸代含む) |
その他 | さらし持ち込み |
納品方法 | 直接お届け |
この「愛友大吟醸」と「愛友 純米大吟醸」は、愛友酒造さんを代表する2本で、国際的なコンクールや鑑評会では、常にゴールドを受賞している銘酒だ。SAKE COMPETISIONの純米大吟醸の部で日本一に輝いたこともある。その酒袋を縫うというのは、大変なプレッシャーだ。
潮来市内の洋品店でさらしを買う
さらしはどこででも手に入るが、愛友酒造さんでは毎年潮来市内の某店で買うと決めている。
- さらし1反=約10m
- 1反からできる酒袋は7枚
さらしのパッケージにおむつが7枚取れると書かれている。なんと、酒袋もおむつもサイズが一緒だった。
今回は、12反分(7×12)=84枚縫う。酒蔵では大吟醸と純米大吟醸を製造中なので、酒袋もそれに合わせないといけない。縫製が間に合わないなどと言って、酒造りの足を引っ張ることは絶対に許されない。
酒袋を縫う
酒袋は角にお米が溜まらないように、丸く縫う。袋が破れてお米が散らばったりしないように、二重に縫う。お米を入れるときに破れないように、口は三つ折りにする。
心を込めて12反分、84枚縫っていく。
酒袋を使う前に、念入りに洗う
酒袋を納品したら私の仕事はそれでおしまいなのだが、行く末が気になる。某日、愛友酒造さんを訪れると、大量の酒袋を大きなタライで洗っているところだった。布や糸が日本酒の品質に影響することも大いにあり得る。水を替え、何度も何度も洗って干して、ようやく使われる。
酒袋で日本酒を搾る
冬の寒い朝、酒袋がどんなふうに使われるのかを見学させていただいた。手塩にかけて縫った酒袋、愛着がある。もろみが入れられていくのを静かに見守る。
もろみを酒袋に入れて、大きな樽の中に吊していく。これを「大吟醸の首吊り」と言ったりすると教えていただいた。身も蓋もないネーミングだ。
順番待ちの一斗瓶。
力を加えることなく、もろみの重力だけで一斗瓶に日本酒を集めていく。自然に任せているので、途方もない時間がかかる。溢れないように、杜氏さんが静かな蔵の中で、じっとその様子を見守る。そこには、厳かな空気が流れていた。
高校を卒業したら、洋裁の道に進むと決めていた。東京の専門学校に進学したかったので、サマースクールにも参加した。ところが、時代の流れと共にインターネットの世界へ進むことになり、洋裁は趣味に留まることとなった。
それでも、「いつか洋裁の仕事をしたい」という思いは密かに持ち続けていた。こんな形で洋裁のご依頼をいただけて、愛友酒造さんには大変感謝している。ちなみに、大吟醸を搾ったあと、酒袋に残った酒粕は極上品で隠れた人気商品だ。
洋裁の案件も可能な範囲で承っております。
どうぞお気軽にご相談ください。
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