2026年3月20日、潮来市の愛友酒造さんで初めての蔵開きが開催されました。愛友さんは創業1804年という老舗酒蔵で、2026年は222周年というゾロ目の縁起のいい年に当たります。
蔵開きとは、主に日本酒の蔵元が新酒の完成を祝い、一般の方を招いて施設を解放するイベントのことです。別名「酒蔵の感謝祭」とも呼ばれ、普段は見学できない場所の特別公開や、限定酒や新酒の試飲販売などが行われます。初めてとあって、何をどのくらい準備したらいいのか、前例がなく手探り準備を進めていきました。

メインビジュアルは創業222周年を迎えた
愛友酒造さんの酒蔵全景
蔵開きの企画
蔵開きの企画に関しても関わらせていただきました。有料イベントなので、参加費については何度も検討を重ねてきました。約3ヶ月、開催当日まで細かい調整の日々が続きました。
- 参加費に見合った特典内容か。
- 十分楽しんでいただける内容か。
- 潮来まで足を運んでいただく皆様に「来てよかった」と思っていただける内容か。
- 出店していただく事業者様に十分な利益が出るか。
- 写真スポットを設けてはどうか。
- 飲むだけでなく、参加して楽しい酒粕詰め放題企画はどうか。
結果として、反省点は残るものの、多くの方にご満足いただける内容だったと思います。大変ありがたいことに、日本酒を愛する方々と、地元の方で満員御礼でした。事故やトラブルもなく初めての蔵開きを終えることができて安堵しました。
蔵開きのウェブサイトとSNSでの情報発信
蔵開きの内容が直前まで決定しないことも多かったため、約3ヶ月に渡って細かく修正を重ねながらイベント告知をしていきました。
告知ページでの情報発信
告知ページを作成するにあたって、まず愛友酒造さんのウェブサイトは誰が作成したのか、どのような仕組みで運用されているのかを調査するところから始めました。ヒアリングを重ねていくうちに、某制作会社独自のCMSで運用されていることがわかり、管理画面のログイン情報に辿り着くまでにかなりの時間を要しました。CMSにはマニュアルがなく、使いこなすまで試行錯誤の日々でした。
参加者は若年層よりもちょっと上の年代だったので、告知サイトはなるべく文字が読みやすく、図や写真を多く取り入れ、情報をわかりやす整理して発信してきました。イベント当日用意した無料の巡回バスは、トラブルを最小限にするため、事前にバス停留所を撮影し、年配の方にもわかりやすい案内を作成しました。



初めて潮来を訪れる方にもわかりやすい
交通案内を心がけた。
SNSの運用
SNSはインスタグラムと、そのアカウントに連携したfacebookでの発信を中心に、蔵開き当日はX(旧ツイッター)でのライブツイートを行いました。しかし、参加者は年配の方が圧倒的に多く、イベント当日はお酒を飲んで始終ご機嫌です。スマホなんてほとんど見ないのです!日本酒片手に楽しそうな参加者さんを見ていると、それでいいと思えました。


愛友酒造八代目兼平社長と楽しそうな参加者さんたち。
蔵開きのチラシ、ポスター
茨城県潮来の地で222年続く老舗酒蔵、ぜひこの機会に多くの方に足を運んでいただきたいという思いで、メインビジュアルは酒蔵外観の全景にしました。煙突から煙が出ているということは、酒造りシーズン。この時期は冬の寒空、どんよりと暗いイメージですが、3/20には春の青空が広がってほしいという願いをこめて、澄み切った青空にしました。

日本酒は日本人にとってとても身近なものです。この機会に、酒蔵に親しみを持ってもらえるように水彩タッチのやさしい印象に仕上げています。ポスターは道の駅や飲食店、愛友酒造の直売店にも貼られてにぎやかな雰囲気となりました。

天井から連続して飾られた蔵開きのポスター
オンライン受付と参加者リストの集計
参加申込は、愛友酒造の直売店、オンラインショップ、潮来駅併設の「水郷潮来観光案内所」と3通りでスタートしてみました。できればすべての顧客情報をデジタルで管理し、当日の受付リストに転用したかったのですが、地元のお得意様は「蔵開き行くからよ!」で申し込み完了という現実がありました。そういう方に「直売店で申し込んでくださいね」「オンラインショップでも申し込みできますよ」と言っても、対応は難しいのです。
参加費は当日受付にてお支払いというルールを設けても、「面倒くせえから金払っておくからよ!」というルール無視の申し込みも実際多くありました。古くから現金でお酒を手売りしてきた愛友酒造さんのお得意様なので、現金握りしめて申込にきた方を断るわけにはいきません。
また、申込書には名前や電話番号を必須事項にしていましたが、実際申込書を集めてみると、会社名しか書かれていなかったり、その申込書に「6名」とあったり、名前ではなく「部長」「課長」と書かれていたり、顧客データの集計は思うようにはいきませんでした。そういった「例外」が多々あり、すべての申込情報を同じ形式でデータ保存することは断念しました。次回の大きな課題です。
イベント当日は、なるべくゲストをお待たせすることなく、スムーズに入場していただけるように窓口を分類し、スタッフの方に対応していただきました。受付窓口は数字と色で分類して6パターン作成し、愛友酒造の兼平社長がイベント前日に印刷、ラミネート、三角形に組み立てて当日受付に用意してくださいました。






参加者名簿は窓口ごとに6つに分類。蔵開き当日の受付は、混雑することなくスムーズに対応できたかと思います。
オンラインショップからの申込は、SNSや蔵開き告知ページから誘導し、支払い方法は「蔵開き当日現金払い」として、受付完了。個人情報は不備なく整理され、扱いやすく準備もスムーズでした。
すべてをデジタル化すると、切り捨てられる方が必ず出てきてしまいます。どこまでデジタル化するべきかは、次回の課題です。
食券のデザイン、制作
蔵開き参加者特典として、当日限り利用可能な食券が5枚付きました。食券といっても、200名以上の方にお配りするものをいつまでにどんなデザインで作ったらいいか。試行錯誤しながら作っていきました。

わかりやすく5色の用紙にそれぞれ印刷
文字はなるべく大きく、5枚の食券をそれぞれ色分けして印刷し、蔵開き当日は「ピンクの食券」「黄色い食券」というふうに、年配の方にもわかりやすく作成しました。5枚綴りの食券を紛失しないよう、参加者特典のトートバッグにホチキス止めして手渡しました。
スタッフとゲストのステッカー
当初、受付でお支払いを済ませたら、リストバンドをつけていただく予定でした。しかし、3月下旬はまだコートを着ている季節。手首のリストバンドが見えにくいという懸念があったため、洋服に貼ることができるサテンステッカーをご提案させていただきました。よく、バンドマンが付けているあのステッカーです。
受付でお支払いを済ませた方に、その場で名前(ニックネーム)を書いて貼っていただきました。参加者同士が名前で呼び合い、互いに楽しいひとときを過ごしてもらう目的もありました。


スタッフは青、ゲストは赤と色分けすることで、何か困ったことがあったときにスタッフに声をかけやすいように配慮しました。
参加者特典のトートバッグデザイン
愛友酒造さんのレジ横で販売されているオリジナルデザインのトートバッグ。それとは別に、蔵開き参加者のために222周年記念のトートバッグを制作しました。

デザイン案
いくつかのデザイン案がありましたが、議論を重ねて酒樽のイラストをベースにしつつ、222周年を目立つ形で仕上げることで落ち着きました。

生成のバッグに社名の案。

特別感のある黒のバッグにシルバーのラメ入りインク。

販促用ステッカーのデザインをそのままバッグに。
最終案は社名を入れず、222周年を強調したデザインに。シルバーのラメ入りインクよりもくっきり目立つ白インクで印刷しました。


蔵開き当日、受付を済ませた方は、非売品の記念酒が入ったこのトートバッグを受け取りました。参加者全員がおそろいの記念バッグを持って歩く姿に感激しました。
2種類のオリジナルトートバッグ
生成にゴールドインクのトートバッグは通常商品として販売中。多くの方に愛友酒造オリジナルバッグを持っていただきたいという兼平社長の思いで、500円ポッキリの破格値です。蔵開きの参加者特典は少し多めに作ったので、特別バージョンも販売しています。


ハンドルキーパーステッカーデザイン
ハンドルキーパーとは、グループで飲食店などへ車で行く際、お酒を飲まずに運転して全員を安全に送り届ける役割の人(またはその運動)を指します。 お酒を飲まない人が自動車の「ハンドル」をしっかりと握り(キープし)、飲酒運転を防ぐことで同乗者の命を守る(キープする)という意味が込められています。
蔵開きの受付で「お車の運転をしますか?」と必ず確認し、運転する方は絶対に飲酒しないようにステッカーを貼っていただきました。

ステッカーをデザインするにあたって、一般財団法人 全日本交通安全協会様のキャラクターを基本として、ステッカーをデザインをし、著作権、使用について確認と、「ハンドルキーパー運動のロゴマーク使用届」を提出し、制作しました。
一般的にハンドルキーパーといえば黄色ですが、今回愛友酒造さんのロゴに使用されている赤にこだわり、許可を得て制作しています。
あとがき
愛友酒造さん222年の歴史の中で、初めての蔵開き。やったことのないことは、やってみないとわからない。しかしやるからには入念な準備を重ねて、お客さまにひとつでも多く喜んでいただけるような工夫をしたい。それがなかなか簡単にはいかないことばかりでした。
3月20日は、春の穏やかな天気を願っていましたが、当日はとても寒くてまだみなさんコートを羽織っていました。そして、雨が降ったり止んだりというお天気。しかし、事前に兼平社長がテントをたくさん用意してくれていたおかげで、みなさん外で楽しくお酒を楽しむことができました。P箱と呼ばれるプラスチック製の箱を椅子がわりにたくさん用意したので、「座るところがない」「立って飲むしかない」ということも避けられました。
蔵開き前日には、地元のお花屋さんが花を生ける姿がありました。愛友兼平社長の小さな心配りが随所に感じられる蔵開きでした。多くの方の協力があって成功した愛友酒造さん初の蔵開き、初回の反省点を踏まえて、来年はより楽しんでいただける蔵開きになりますように。

記念すべき1回目の蔵開きを終えて、後日サプライズでフォトブックにしてプレゼントさせていただきました。愛友酒造直売店にも飾られています。
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